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令和元年度第3回漢方研修会を開催いたしました。(2020.1.31)

2020/2/7(金)

 2020/1/31(金)
 第27回漢方研修会を開催いたしました。

 東北大学医学部星陵キャンパスにて、令和元年度第3回(通算第27回)漢方研修会を開催致しました。

 今回は伊勢崎市民病院歯科口腔外科主任診療部長の五味暁憲先生にご登壇いただきまして「歯科口腔外科領域の漢方について」と題してご講演いただきました。今回の歯科領域漢方薬のお話は、本会を含めた全27回の漢方研修会史上初のテーマでもありたいへん貴重な会でありました。五味暁憲先生は歯科口腔外科のご専門で有りながら、中々治りにくい口腔内の愁訴に対する漢方薬の経験を数多くお持ちの方で、限られた時間の中でたくさんの実践のお話を頂戴しました。

 意外と知られていないことの中に、薬価基準による歯科関係薬剤点数表に11種類の漢方薬があることをお示しいただきました。口腔内の愁訴を中心に指定されていますが、最近では口腔内のフレイルに対する補剤が追加されていることは特筆に値するそうです(補中益気湯や十全大補湯)。

 その他「歯痛」はもちろんのこと「口腔乾燥症」や「歯性感染症」、「三叉神経痛」についてもお話がありました。三叉神経痛の漢方薬では“冷え”というキーワードをお風呂の好み(熱い、ぬるい)からみる方法をご紹介いただきました。
また昨今対応に苦慮する「舌痛症」について、心身症的な考えが結びついていることをご説明いただき、五味暁憲先生ご自身が行ったCMI(Cornell Medical Index)を用いたリサーチもご紹介いただきました。心身症が絡むことが多いため、加味逍遙散、桂枝加竜骨牡蛎湯、抑肝散、半夏厚朴湯・・・といった気剤系薬の使い方の鑑別・コツも伝授いただきました。
「顎関節症」についても解剖学的な異常をご説明いただいた上で、漢方薬の出番を教えていただきました。解剖学的な異常をまさか漢方薬で!?と思いがちですが意外に効果が出ること、食いしばり・歯ぎしりを和らげることで筋・関節症状を緩和することもご説明いただき、まさに目から鱗の発想でありました。
また五味暁憲先生は口腔癌のご専門でもあります。がん治療に伴う不快症状に対して、補剤で全身的対応はもちろん、口腔内局所症状に対する対応も数多くお示しいただきました。口腔がん治療で「生物学的生命」が救えても、人間らしく生きて行く「社会的生命」を失ってしまえば治療の意味は激減する・・・これは、五味暁憲先生のかつての師匠である山口孝二郎先生のお言葉をご紹介頂き、それを救うのが“漢方薬”であると締めくくられました。

あっという間の90分であり、多くの質問も頂戴いたしました。最終的に過去最高の58名の参加者に恵まれ、配布資料が不足するという事態が発生、スタッフが追加印刷のため右往左往するという嬉しい悲鳴が起きました。

今回のご講演をきっかけに歯科領域と医科領域の連携を強めていけたらと考えております。そして頂いた情報を地域の健康増進に活かせればと感じております。

2020年度もまた新しい研修会を企画して行きたいと思いますので、是非総合地域医療研修センターのwebページならびに東北大学病院漢方内科のwebページ(Facebook)等を是非ご注目ください。
今後とも宜しくお願い申し上げます。

※なお本研修会は
一般財団法人日本漢方医学教育振興財団2019年度「漢方医学教育推進事業」
より助成を頂いていることを申し添えます。

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