HOME活動報告 > 8/29(水)八戸市の青森労災病院において、東北大学総合地域医療研修センターの企画として、病理診断学分野 笹野教授が三例の症例検討会を行いました。

8/29(水)八戸市の青森労災病院において、東北大学総合地域医療研修センターの企画として、病理診断学分野 笹野教授が三例の症例検討会を行いました。

2012/8/31(金)

東北大学大学院医学系研究科 病理診断学分野 笹野教授と青森労災病院の病理と臨床のスタッフ48名(内訳:医師20名、看護師14名、医療職11名、事務職員3名)とで下記3症例について有意義に症例検討会を行った。

1: 仙骨腫瘍の一例
初回手術後44ヶ月後に再発した脊索腫であった。
脊索腫体幹の中心部からしか発生しない腫瘍であるが、すべての症例で仮に外科手術的に完全に摘出されたとしても再発する可能性がある事から現在ではlow to intermediate malignancyと位置づけられている。今回検討したこの青森労災病院で症例も初回手術時の病理組織所見だけではその後の臨床経過を説明出来る事は不可能である事を再確認した。又極めて特徴的な脊索腫の病理組織所見を確認し、S100, cytokeratin,EMAなどの免疫組織化学的解析の重要性も再認識させられた症例であった。

2: 胃の大細胞型神経内分泌細胞癌の一例
生検では低分化な腺癌と診断されたが手術標本では神経内分泌のマーカーが陽性で、大細胞型内分泌細胞癌と最終的には病理組織学的診断がつけられた症例である。手術検体でもクロモグラニンやシナプトフィジンなどの神経内分泌マーカーの発現は限局的であり、最終的にはMANEC ( mixed adenoneuroendocrine carcinoma) と鑑別が病理組織学的に困難ではあった。このように消化管に発生する神経内分泌癌の生検診断の限界を示す極めて教育的な症例であった。

3:大腸の肉芽腫形成疾患の一例
5年前に青森労災病院で、悪性リンパ腫も否定できないことから大腸摘出となり肉芽腫形成疾患で、クローン病、サルコイドーシス、ホジキン病などの鑑別となったが、最終的な病理組織診断はつけられなかった症例である。しかし今回この患者の縦隔のリンパ節腫大が増強し精査を行う予定となっている症例である。本症例の手術検体を良く見直してみると、以下の組織学的特徴が明らかになった。すなわち 肉芽腫内の上皮様の細胞は極めて発達しており肉芽腫の分布は表層を中心に認められ、血管内にも同様の肉芽腫が認められる。 これらの病理組織学的特徴をすべて満たしているのはサルコイドーシス しかなく、本症例は腸管原発のサルコイドーシスと最終的には判断された。腸管に発生する肉芽腫病変鑑別の重要性を示す極めて教育的な症例であると考えられた。



アーカイブ

このページの先頭へ

総合地域医療研修センターご案内

リンク

お問い合わせ先

Copyright (c) 2012 Tohoku University School of Medicine All Rights Reserved.