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熊本大地震で被災された皆様へ~東日本大震災における医療活動のご紹介~

2016/4/18(月)

熊本大地震で被災された皆様へ~東日本大震災における医療活動のご紹介~

2016年4月14日から発生の熊本大地震によりお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りしますとともに、被災された方々へ心からお見舞い申し上げます。

 東北大学総合地域医療研修センターは、東日本大震災を経験して、被災地医療活動支援と災害医療教育を継続して行ってきました。

 東日本大震災の時に本研究科で行った活動報告があります。時間経過と避難所での症状の変化、対応等をまとめてあります。

避難所で医療活動を行う皆様にご覧いただき、お役立ていただければと存じます。

今後も本センターでは被災地支援に努めます。

 

2016年4月18日 東北大学総合地域医療研修センター長 張替 秀郎

 

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「東日本大震災における東洋医学による医療活動」

高山 真 (東北大学大学院医学系研究科先進漢方治療医学講座2011年当時)他

 

要旨

平成23年3月11日に発生した東日本大震災は,巨大な地震と津波により東日本の広い範囲に甚大なる被害をもたらした。東北大学病院では被災地域への医療支援を行ない,漢方内科においても東洋医学を中心とした活動を行なった。ライフラインが復旧せず医療機器の使用が困難な中にあって,医師の五感により病状を把握し治療方針を決定できる東洋医学は極めて有効な診断・治療方法であった。被災直後には感冒,下痢などの感染症と低体温症が課題であり,2週間経過後からアレルギー症状が増加し,1ヵ月以降は精神症状や慢性疼痛が増加した。感冒や低体温に対する解表剤や温裏剤,咳嗽やアレルギー症状に対する化痰剤,疼痛やコリ,浮腫に対する鍼治療・マッサージ施術は非常に効果的であった。人類の過酷な歴史的条件の下に発達した東洋医学は大災害の場でも有効であることを確認した。

(研究論文全文pdf)

 

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「東日本大震災時に妊婦だった女性とそのパートナーのその後の子育て期の心身の健康」

佐藤喜根子(東北大学大学院医学系研究科保健学専攻周産期看護学分野)他

 

要旨

平成23年3月11日に発生した東日本大震災は,巨大な地震と津波により東日本の広い範囲に甚大なる被害をもたらした。発生時に産褥1か月未満の早期褥婦と母子手帳交付後の宮城県内の妊褥婦3,539名(同意を示した886名)に震災年と2年後まで継続して、発災当時の状況とその後の子育て状況時の心身の健康とそれに影響を及ぼす因子を調査した。

その結果、急性期(震災2カ月後)までは「緊急時にはどこの医療機関を頼ればよいかわからず困った」「病院から早く退院させられて困った」「ほかの避難者から責められることがあり、精神的に苦痛だった」等の子どもがいることでの大変さがあった。一方で、「ミルクがあってもお湯がなくて、もらい乳をしてしのいだ」や「避難所で泣かせないように乳首を含ませていたら、栄養チューブを入れていた児も吸啜力が良くなり、チューブがはずれた」などの禍も転じて福となった事例もあった。

 しかし未曽有の災害を経験した母親の心身の状況は、震災10か月目のEPDS(エジンバラ産後うつ病自己評価票)では、産後うつ病のハイリスク者は震災時21.5%と(一般の日本人褥婦平均10-15%)高く、その後震災16か月・24か月の心身の健康をGHQ28 尺度で同様に調べた。その結果、“何らかの支援が必要”な者は、母親が各々65.3%、55.3%、父親が46.2%、48.2%と日本人成人14%平均よりも高く推移していた。関係する因子は、「夫婦間の意思疎通」「経済的事情」「支援を受けたという実感」などがあり、「地域の情報(ラジオや広報)」「子どもの一時預かり」「病院や保健所のHPやフェイスブック、ツィッターなどのネット利用」が助かったと述べていた。  

(研究報告書pdf)

 



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